2025年9月28日日曜日

タックとダーツの話

今回のチノパンはフロントにタックを1つ、バックにダーツを2つ設けました。

フロントのタックについては、
個人的な好みで言えば、僕はあまりつけたくないタイプです。
外観の雰囲気がドレッシーになってしまうからです。
それでも今回あえてタックを設けたのには理由があります。

今回の場合は、2cm幅で折りたたんだワンタックです。
ということは、片方で4cm、両サイド合わせて8cmの生地のゆとりを設けていることになります。
もしもタックのないパンツだったら、ウエストが+8cm大きいものをデカ穿きしているような状態です。
なるべく太いバギーなシルエットをつくりたい場合、これは見逃せない寸法ですよね。
今回のようにワンタックではなくツータックにすれば、単純にその分大きな面積の生地のゆとりをもたせることができますが、
先述の通り、外観がドレッシーになりすぎることを懸念して、2cm幅のワンタックにしました。

一方で、バックポケットの上にはダーツを左右2か所ずつ設けました。
これまで当店のトラウザーは1つ、もしくは無しだったので、2か所は初めてです。
これにより、バック側にもかなりしっかりとゆとりを設けることができました。
ジーンズで言うところのダックテールのような、ヒップ側のゆとり・たるみができ、
これがバギーシルエットに貢献し、動きやすさにもつながっています。

スーツなどドレスのパターンメイキングの常識とは当然違うし、
たぶん怒られるだろうし(笑)、
カジュアル方面でも、美脚とか小尻とかを意識した設計とはまるで違うのですが、
たとえばラルフローレンのレギュラー古着をデカ穿きしてきたような方には、
面白さをきっと分かってもらえるシルエットに仕上がっていると思います。